お役立ち情報
過払い金の返還請求で訴訟を行う場合のリスク
1 過払い金の返還請求で訴訟をするべきか
過払い金の請求に関して、全件訴訟をすることを明言している事務所等もあります。
もっとも、1つとして同じ事件は存在しませんので、訴訟をすべきか否かについては、個別の案件ごとに判断する必要もあるかと思います。
2 訴訟を強く主張する理由
全件訴訟をしようというスタンスの事務所があることにも、当然理由はあります。
過払い金の返還請求については、訴訟をした方が回収できる金額が増額される場合が多いと言ってよいためです。
過払い金それ自体は、文字通り「払い過ぎたお金」ということになりますが、この返還を求める場合、法的には不当利得返還請求と構成する場合が通常です。
そして、不当利得については民法上の利息も発生する場合があり(民法704条)、過払い金返還請求に関しては、この利息分も認められている判決が多数ということができます。
一方、交渉の場面において、貸金業者が利息も含めた金額で支払いに応じてくることはほとんどありません。
むしろ、過払い金の元本のさらに7割等、減額した金額の提示を受けることの方が多いという状況です。
この点、判決まで受け、過払い金の満額に加えて利息分まで支払いを受けることができれば、訴訟をした方が、受取額が多くなる、というわけです。
3 あえて訴訟をしないという選択について
上記2の説明だけ見ると、全件訴訟をすることも意味があるようにも思えます。
しかし、すべての過払い金返還請求が、何の争点もなく、判決を得ることで満額回収ができるというわけではありません。
実際、過払い金の請求が認められず、棄却されている判決もあります。
例えば、「こちらの主張が全面的に通れば100万円、貸金業者の主張が通れば0円」という場合もあります。
争点によっては、裁判実務における判断が分かれていることもあります。
さて、上記の具体例で、40万円の和解案が提示されていたとします。
あなたは和解に応じるでしょうか、それとも、0円になる可能性もある中で、100万円を目指して訴訟するでしょうか。
上記の例はやや極端ですが、裁判することによって受け取れる金額が減る、場合によってはゼロになる可能性がある、というのが、訴訟をする場合のリスクです。
4 訴訟するか否かは弁護士によくご相談ください
上記の例だけでは、例えば勝てる確率はどの程度なのか、ということはわかりません。
勝率7割程度なら当然訴訟する、という方もいるでしょうし、仮に勝率8割だとしても、2割の確率で0円になるなら和解で40万円を受け取る、という方もいると思います。
過払い金の訴訟について、どのように進めていくのがよいかについては弁護士によく相談されることをお勧めします。
過払い金を自分で計算する方法 契約書をなくした場合の過払い金返還請求